――初めて肌を重ねた後の、まどろみの中で見上げたそこには、星空が広がっていた。
「何、見てんの?」
ぼぉっと天窓を見ていた風姫に朱鷺が不思議そうに声をかけた。
「ふぇっ……ぁ、うん。星空……綺麗だなって」
「あぁ、空か」
朱鷺は言葉を返しながら、自分も風姫の視線の先に目を向けた。
このマンションの最上階の特典とも言える、寝室にちゃっかりついている天窓。
晴れの日は青空を映し出し、曇りや雨の日にはどんよりとした灰色の雲を映し出す。そして、今宵のような晴れた夜には澄んだ星空を……。
「あ! 流れ星っ!」
風姫は星空を指差すと、その後すぐ指を組んだ。
何やらブツブツ言っている。
「…………、朱鷺もお願いした?」
風姫の様子を見ていた朱鷺はふいに問いかけられ、驚いた顔を見せる。
「お願い。流れ星と言えば、3回言えば、叶うんでしょ?」
何のことだか分からず驚いたままの朱鷺に、風姫はむぅっと頬を膨らませつつ、そう言った。
「あー……してない、な」
「やらなきゃ、ダメだよぉ。折角のチャンスなのにさ」
まだ膨れたままの風姫に、微笑し朱鷺は彼女を抱き寄せる。
「……ひめは? ちゃんとお願いしたの?」
耳元でそう囁くと、風姫はこくんと頷いた。
「あのね……」
――……ずっと、貴方と一緒に居られますように……。
了。